医学部が大変なのは本当なのか?
医学部が大変なのは本当なのか?
春ですね。
Twitterを見ていると医学部の合格報告がいいねやリツイートで連日のように流れてきます。合格者の皆様おめでとうございます。
しかしTLを眺めていると「医学部きつい」「医学部に来ては行けない」と言う医学生のツイートが散見されます。
さて実際のところ本当に医学部は大変なのか?
医学部6年間を振り返って、個人的に思う医学部が大変か否かについて紹介していきたいとます。
筆者の周りの非医学部の方々
まず医学部が本当に大変かを議論する前提として、誰と比較するのかと言う問題があります。いわゆる対照群ですね。
私の交友関係としては、再受験してきた同級生、同大学の他学部(理系・文系で偏差値は60ぐらい)、近隣他大学(偏差値50ぐらい)、高校の同級生(進学校で名門大が多い)がいるので、その人たちの発言などを参考にしています。
再受験でもしなければ、多くの人は複数の学部を体験することはできないため、医学部の大変さを単純比較が難しいですが十分に議論できるかなと思います。
医学部の留年率は高い?
まず医学部の大変さとして挙げられるのは進級試験の大変さが挙げられます。
大学による差はありますが、全国平均のストレート進級率は約85%だそうです。
なんと約15%も留年する!!やはり医学部の進級は大変だ!!
全国医学部の進級・卒試・ストレート卒業難易度ランキング: 孤軍奮闘。再受験のち医大生。
…と単純に決めつけるのは早いです。
大事なのは他学部との比較です。これをせずに自分たちのデータだけ見て主観でものを語るのは良くないかなと思います。
実は全国の国立大学の留年率は4年制では14.9%、6年制では12.7%なんだそうです。
国立大学の留年状況を知る。 - 大学職員の書き散らかしBLOG
…あれ?医学部の留年率以外と普通じゃないですか?
筆者の知り合いで留年した理由で多いのは就職留年、勉強、留学などですが、留学を除いても他学部も意外と苦労して留年していると言えそうです。
勉強が大変
留年率はそこまで高くないことは分かりました。
それでもやっぱり勉強が大変な気がしますね。
今どき大学生の勉強事情|平均学習時間は?海外との格差がヤバイ|Campus Hub
全国の大学生の大半は、一週間に10時間も勉強しない人が多く、試験前ですら一日4時間勉強しない人が半数近くなようです。
流石に試験前になったら徹夜したり一日中勉強している医学生の方が勉強時間では圧勝な気がします(嬉しくない)。
そもそも医学部は全体的に勉強ができる人が多く、最も簡単に入学できる大学ですら早稲田の理工系と同レベルと言われています。
世間の人が1週間かけてもできない内容を1日でできるようになる人も多い気がします。
そんな医学生でも苦戦する試験が年に何度もあると言う点で、間違いなく勉強は大変だと思います。
医学生以外の方々は、試験勉強に苦しむ医学生を見ても低スペックなんて言わないであげてくださいね。
ただ勉強量も大学のレベルや学部にもよるようで、医学部と同レベルの大学の理系の学生は意外と勉強をしている人が多い気がします。
司法試験や国家公務員試験などを受験する方々などは、平均的な医学部生と大差ないか、むしろ大変な勉強をしているような印象すら受けます。
ただ勉強内容に関しては、暗記よりも理数系思考を得意とする理系学生を多く集めているはずなのに、思考力よりも多くの暗記量が求められる医学部の試験は、相性として厳しくなっている側面は無視できないと思います。
カリキュラムが大変
医学部のカリキュラムといえば、毎日ギチギチに授業が入った時間割ですよね。
さらに高学年になると夏休み春休みが他学部に比べて短縮されている鬼畜っぷりです。
確かに多くの文系の方々の穴だらけなカリキュラムとは比較にならない大変なカリキュラムなんですが、他の理系と比較した時、少し見え方が変わるかなと言う気がします。
同大学の理工系のカリキュラムも、あまり変わらないぐらい専門科目で埋まっていました。研究室配属以降は研究室次第ですが、平均より大変なところだと9時から21時ぐらいまで拘束されたり、徹夜で実験や休日返上なんてこともよくみる光景です。
正直、人権があるか怪しい理工系のブラック研究室に比べたら、医学部のカリキュラムなんて可愛いもんな気がします。
総合大学に通う医学生はこの辺をよく分かっていることが多いのですが、地方の単科大学や他学部と分離されている大学に通う医学生はこの事実を知らずに、自分たちが最も大変かのように主張しているような気がします。
実習が大変
これに関しては人による気がしますが、個人的には医学部生活で一番つらかったです。
7,8時ぐらいの朝早い集合、医員の先生ですら何人も寝るほどつまらないカンファ、術野を開くまでと閉創までが異常に長い手術、つまらない世間話を長々と聞かされる回診、無駄に人数が多くて患者さんが見られない総回診など、本当につらかったですね。
生産性がない時間が多すぎます。お金を貰える先生方はそれでも良いんでしょうけど、無給で人生の貴重な時間を捧げる価値はないです。
医師の労働環境
最近でも無給医問題や残業時間、訴訟など医師の労働環境を疑うようなニュースが多く流れていますね。
実際に平均を見ると医師の労働時間はブラックと言える水準です。
しかし医師免許のもたらすメリットを考慮すると必ずしも厳しいとは言えない気がします。医師のいつでも年収1000万ぐらいの職場に自由に転職できることは大きなメリットです。
普通の職業には退職リスクがあります。普通の社会人なら合わない職場やブラックな部署への配属などになったら、耐えるか待遇悪化を覚悟で退職するかみたいになりますからね。
また他の高給とされる職業も残業が多かったりハードワークであるを考えると、決して医師だけがブラックとも言えないです。
さらに医師には職場を選ぶ権利があるので、本当にきつければホワイトな職場に行けば良いのです。
医師と言う職業の将来性ですが、なんとも言えないですが今より悪化するのではないかと言う予想が多くありますし、筆者も今より医師の収入は減少するのではないかと考えます。
しかしAI化にしても人口減少による患者数の減少に関しても、他の職業も同程度のリスクがあります。悲しいことに日本全体として内需の減少と税制の悪化は避けられないのですから。
医師という職業の絶対的な立場は低下しても、他と比べた相対的な立場が大幅に低下するとは考えにくいです。
他学部は他学部で大変
これは医学部の良いところ(?)の裏返しなのですが、就活の大変さは他学部が大変そうだなと感じます。
就活にはあまり詳しくないのですが、どうも実際の能力よりも外見や印象などの本人ではどうしようのもない点で決まってしまう部分が多いようです。
面接なんて客観性皆無なので、男女差別もかなり多いみたいですね。医学部入試の女子差別問題なんかより闇が深そうです。
とにかく努力ではどうしようもない理不尽な部分があります。
同じ医療系でも、歯学部や薬学部は国家試験の合格率が低かったり、看護学生の実習の仕打ちとかを見ていると、医学科は理不尽な部分は少ないような気がします。
まとめ
結局、医学部は大変なのかと考えてみると、試験勉強に求められる暗記量は理系学生に課すには大変だと思います。医学生に求められる努力量はトップクラスであることは間違い無いでしょう。世間の大半の人では不可能な勉強量だと思います。
ただし就活やブラック研究室のような理不尽でどうしようもないタイプの大変さは、他学部に比べて少ないような気もします。勉強は大変ですが、逆に勉強さえできればあとはなんとかなりますからね。
卒後に関しても医師という職業はまだ恵まれている方ですし、だからこその医学部人気ですからね。
あとは皆さんがどのようなことを大変だと感じるか次第なので、結論としての判断は皆さんにお任せします。