チクタク氏の医学ブログ

とある医学生の戯言です。語源とかゴロとか。

サマライズ・ラスメ懐疑論『孝志郎は神なのか?』

サマライズ・ラスメ懐疑論『孝志郎は神なのか?』

 

 

こんにちはチクタクです。

 

医師国家試験が近づいてくる冬ごろになると、受験生の間で必ずと言って良いほど話題になる『国試の問題を的中させまくる講座』が存在します。

医学生ならご存知の方も多いと思いますが、MECの看板講師であるDr.孝志郎が担当するサマライズラストメッセージ(以下ラスメと略す)は的中問題が多く、『孝志郎は神』『予言者』『問題のリークがあるのではないか?』などの憶測が飛び交います。

 

今回はそんなサマライズ・ラスメの孝志郎神話について、実際に受講した立場から検証して行こうと思います。

 

目次

 

圧倒的な受講者数

まず113回受験生でのサマライズの受講者ですが、7500人以上と言う約1万人しかいない受験生のうち75%が受講すると言う驚異的なシェアを誇ります。

例年の受講生達が国試合格後、後輩たちに『本当によく当たる』『絶対に受講した方が良い』『孝志郎は神』『孝志郎は問題を知っている』と口々に伝えます。自分も先輩方から上記のような言葉を毎年のように聞かされたので、必ず受講せねばと思っていました。

その結果、徐々にシェアを拡大して今年はついに75%に達してしまいました。

来年以降のシェアが拡大し続けるのかは分かりませんが、他に対抗できる後期講座もないため、少なくとも受験生の半分以上が受講する流れは大きく変わらないと思われます。

合格率9割の試験であり、みんなと同じ勉強をして、みんなと同じ解答を選べれば受かる、とされる医師国試において、このシェアの大きさは無視できないのではないでしょうか。

講座の良し悪しや的中率に関わらず受講しておいて損はないと言えるでしょう。

 

そもそも量が多い

本題のサマライズ・ラスメは本当に的中しているのかについて、率直な感想を言わせていただくと、それなりに的中している問題が多いとは思うが神なんて大層なもんじゃないなと言った感じです。

まずコスパについては、比較的良い方だとは思うますがかけた時間を大きく上回るほどの効果はなかったかなと感じました。

今年のサマライズは72コマ/1245問で構成されており、予習復習受講にかかった時間は100時間を軽く超えます。さらに開講時期も秋頃であり、前期講座や卒業試験などで一通りの学習を終えた受験生向けに、正答率95%のような簡単な内容は省いて得点差がつくやや難しめの問題を中心に扱っています。

範囲も全分野に渡っており、サマライズ・ラスメ・直前予想メール、それだけやればそりゃ当たるわなと言った感じです。むしろ出ると言ったのに外した項目をあげればキリがないほど多いです。実際、同じ時間で他の教材をやっても、それなりに国試に出題される内容の勉強ができるとは思います。

ラストメッセージと同時期にmedu4が開講していた究極MAPの方が、『出題された事項/かけた時間』と言う意味ではコスパが良かったと思います。(※私はmedu4好きなので参考程度に)

予想的中のからくり

問題漏洩疑惑がかかっていることに対しての弁明なのかは分かりませんが、Dr.孝志郎は意外と授業中に予想的中のからくりを語っていました。

大きく分けると『詳細な過去問研究』『出題者委員の専門分野の予想』『出題ガイドラインの改定箇所』『アメリカの国試からの改題』『臨床現場で注目を浴びていること』を中心に予想をしているようです。

私はMECの回し者ではないのですが、これらの予想方法については非常に素晴らしい分析をしていると感じ、Dr.孝志郎の予備校講師としての気合の入れ方や能力の高さに驚かされました。

過去問研究については、過去問の臨床文の細かな注意書きにも注目して、同じ臨床医として研修医に身につけて欲しいポイントなどの出題者の意図を推察して、次に出題するならどう出すかについて予想をしています。

公開されている出題者委員についても、専門分野を調べ、時には学会発表を見に言ったり関係者の意見を聞いたりと、出題者が好む分野について調べあげています。

また自身の臨床経験から最近の医学界で注目を集めている分野についての解説があります。

 

このように予想方法を説明するとキリがないのですが、とにかく言えることは、Dr.孝志郎が毎年のように予想を的中させているのはDr.孝志郎の分析と経験に裏付けられえたものであり、ある種の必然性を感じます。

これを受験生が自力でやるのはあまり効率的ではないので、その点でサマライズ ・ラスメを受講する意義はあると感じます。




予想的中に関する受験生側のバイアス

『この問題、進◎ゼミでやったやつだ!』と言ったようなセリフが必ず描かれてる、御都合主義の塊みたいなサクセスストーリーが描かれた漫画が家に届いたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし冷静に考えてみると、テストに出る内容なんて大抵は授業で話していたり、学校に配られた教科書や問題集に既にあったりするものなんですよね。

なぜこの漫画の主人公がこんなセリフを言うのか?

それは『既に習ったことを忘れて、直前に勉強した◎研ゼミで学習したように錯覚している』からだと思うんですよね。

これが直前に行われるサマライズやラスメにも言えるのではないでしょうか。サマライズで習ったことを前期のテキストで復習しようとしたら、同じ内容を既に前期に習っていたと言う経験が何度もありました。

要は勉強不足・復習不足なのですが、これも直前講座の的中神話を後押ししているのではないかと感じます。

 

また、国試は9割が合格する性質上、受験生のボリュームゾーンは不安で勉強していたが蓋を開ければ合格していたと言う層で構成されています。

藁をもすがる思いで受講した直前講座のお陰で受かったかのような印象が強く残ってしまい、そう言った合格者の声が強く後輩たちに伝わってしまうのではないでしょうか。




Dr.孝志郎に対する個人的な見解

Dr.孝志郎の授業を受けてみて、話がとても面白く、彼の経験した症例についての説明が光景が目に浮かぶように分かりやすいと言う印象をまず受けました。

基本的にmedu4を中心に学習しHZM先生を最も信頼している自分ですが、話の面白さや症例の分かりやすさについてはDr.孝志郎に軍配が上がるかなと思います。

個人的に気に食わないのは、Dr.孝志郎が予想を的中させる神のように祭り上げる風潮があることです。予想的中のからくりの章でも述べましたが、予想が当たるのは彼の優れた分析力と経験に裏付けれたものであり、変に特別扱いするのは間違っていると思います。当たり前ですがDr.孝志郎と直接触れ合ったからってご加護があって受かるなんてことはないのです。

ただそれでも、業界でも随一の実力がある予備校講師の一人であることも、また疑いようのない事実でしょう。

 

ぶっちゃけサマライズ・ラスメを受講した方が良いの?

これから国試を迎える医学生のみなさんが一番気になるのは受講すべきか否かと言う点だと思います。

結論としては『受講を推奨するが、過度な期待はしない方が良いし、金銭的・時間的な余裕がないなら受講しない選択もアリ』です。

みんなが受講しているものに取り残される不安材料を作りたくない、直前期に全分野を再度復習して知識を確認する教材が欲しい、と言った目的で受講するのはありかと思います。

ただし、予想問題でチートして得点したいとか、基礎を疎かにしてたまにしか当たらない予想ばかりに惑わされるのはおすすめしません。生講義で神と触れ合ったり一緒に写真を撮ってご加護を受けに行くみたいなオカルトは論外です。

おまけですが個人的には、medu4の究極MAPの方がコスパとしては役に立った印象があります。ただ究極MAPはあまり時間がかからず、私はMECの講座と両立できたので、余裕があれば複数の予備校の講座を取るのもありかなと思います。